猫ちゃんのストレス・フリーな生活のためのコラム

猫ちゃんと動物病院編

執筆・監修

藤井 仁美
  • 1990年  東京農工大学農学部獣医学科卒、獣医師資格取得
  • 2001年  英国応用ペット行動学センターにて研修、公認資格を取得
  • 2007年  英国サウサンプトン大学院にて動物行動学を専攻
  • 2009年  同大学院卒、コンパニオンアニマル行動カウンセラーの認定資格を取得
  • 2013年  獣医行動診療科認定医の資格を取得
  • 現 在    V.C.J.代官山動物病院など複数の動物病院にて行動診療を行っている
藤井 仁美 先生

インタビューゲスト

Dr. Daniel Mills

研究業績を通じて、英国獣医師会では獣医動物行動学治療の初の専門医として認定。 これまでに飼い主向けのガイド本なども含め30以上の書籍を執筆すると共に、200報以上の論文を発表。特に獣医動物行動学におけるフェロモンの使用については25年以上もの間、先駆的な役割を果たしている。

Dr. Daniel Mills

Vol.1ストレスが健康に与える悪影響について

①身体の健康への影響

ストレスはペットの健康にも悪影響を与えることが研究により少しずつわかってきています。 猫の場合、下記のような体の器官がストレスの影響を受け、病気を発症したり悪化する可能性があると考えられています。

ストレスに関連すると考えられている病気

1. 泌尿器系
頻尿、膀胱炎(*1)など
2. 呼吸器系
猫伝染性鼻気管炎、カリシウイルス感染症の悪化など
3. 消化器系
嘔吐、下痢、食欲不振など
4. 皮膚
痒み、過度のグルーミングによる皮膚炎、心因性脱毛症など
5. 免疫系
免疫力の低下、免疫調整能力不能によるアレルギーの悪化など
6. 神経系
知覚異常(知覚過敏症)、認知機能不全(痴呆)の早期化や悪化など
*1猫の膀胱炎の中でもストレスと大きく関係していると考えられているのが特発性膀胱炎です。猫の下部尿路疾患(尿石症、尿路感染症、膀胱炎、先天的異常、腫瘍などの泌尿器系の病気)のうちの60%がこの特発性膀胱炎であるという報告もあります。

さらに犬では、ストレスは犬の寿命を短くしてしまうという研究報告もあり、猫にも同じ事が言えるかもしれません。

特発性膀胱炎とは?

● 原因不明な部分が多く、ストレス要因が大きく関係しているといわれている特発性膀胱炎
血尿、頻尿、排尿困難、トイレ以外の場所での排尿などといった症状で猫が来院するものの、検査をしても結石や感染などの異常が見つからないのがこの病気の特徴です。原因はいまだ不明な部分も多いですが、現在までの研究によれば下記のようなストレス要因により特発性膀胱炎の発症リスクが上がると考えられています。
特発性膀胱炎に関連する猫のストレス要因の例
ストレスを感じやすい性格
神経質/怖がり/不安傾向など
ストレスを感じる環境
清掃の行き届いていないトイレ/飼い主からの罰や脅威/同居猫との不和や物資をめぐる不満やいさかい など
ストレスとなるような出来事
引っ越しや部屋の模様替え/家族の不在・増加(赤ちゃんなど)/動物病院やホテルなどでの預かり/工事など大きな音が鳴ること/新しい同居動物/野良猫が保護され家庭で飼われるようになった場合 など
● 治療や再発防止のためにできること
  • 行動診療

    治療のためにはストレス要因を減らし、猫にとって心地よい環境や生活を用意し、飼い主との良好な関係を築き、同居猫による不満やいさかいを減らす工夫をするなどの行動治療が必要です。
  • 猫トイレの管理

    猫トイレの管理は特に重要で、猫にとって理想的なトイレを複数用意し、日々の清掃に加え、まめな(1〜2週間に1回のペースでの)砂の全交換とトイレ丸洗いを行うことで膀胱炎の再発を防ぎます。
  • フェロモン製品

    猫のフェロモン製品の使用により猫が快適に感じる環境づくりをサポートすることも大切です。
コラム一覧へ戻る 次へ